

沈みゆく星に澄む − after the exhibition
−−−−−−− 1本の花に 1本の糸に 1本の光に 何か流れる音のようなものがあり そんなものに光を充しながら この世界に丸く丸く存在していると思う 小さな時間と その小さな時間の連続の中に 深く澄んだ世界があり その美しさに涙して その美しさに寄り添い ただここに在る...


沈みゆく星に澄む − memorandum Ⅲ
−−−−−−− 朝の光のもとで 織り上がった黒を掲げて ただそのものに見入っている 黒と黒に その糸目に そのふたつが映し出す凛とした造形 その風景に その黒に 助けられる自分がいる 黒の経糸に蓄積されていく黒の色彩 それはいくつもの層になり 織り込まれていく...


沈みゆく星に澄む − memorandum Ⅱ
−−−−−−− 水の中に埋められた透明なものたち 水の中にほうむらへて 布の中にほうむられて 永遠にさわれないものとなる 空気が通っていないその場所は こことは別の他界の出来事のように見える われわれはそれを観察する そのぎりぎりの状態で存在しているものを観察する...


沈みゆく星に澄む − memorandum
−−−−−−− 見えないものを抄う 見えていないものを抄う 微かに見えているものを抄う 生と死。 その両方の世界が存在していて我々はその境界にいる。 光を見ること。 そこには見えるというよりもむしろ見えていると仮定するという視覚的な疑問が存在する。 −−−−−−− 星影...


西の空に星をみる
− 朝、遠くの西の空に星をみる 夜、深い空に川がながれる 星の影をすくうように 微かに見えているものを手にとる 白のさきにある色彩に小さく耳を澄ませて 遠くの星の古い光に願いをこめる すぐそこにある生と死に花をささげる 布に包まれたものは存在と不在のあわいを行き来するように...


Accessory
− しずかな光のもとで、白い糸で織られた布へ物を入れていく。 すでに必要なくなくなったもので、そのいくつかは壊れてしまったものだ。 布でなにかを包むという行為は、亡きものまたは亡きゆくものへのささやかな弔いの形なのかもしれない。...